営業パーソンも営業マネージャーも、また経営者も日々頭を悩ませるのが「売上」です。競合他社がひしめき合い、商品・サービスの差別化が難しくなっている今、どのようにすれば売上を上げることができるのでしょうか。今回は、売上を上げる方法や売上アップの成功事例などについて解説していきます。
売上を構成する要素とは?売上を上げる際に大事なポイント
売上を上げる方法を考えるとき、押さえておきたいのが以下の2つの計算式です。
①売上 = 集客数 × 成約率(購買率) × 平均客単価
②LTV(生涯顧客価値) = 平均客単価 × 購買頻度 × 継続期間(取引期間)
①は売上を算出する基本的な計算式です。売上は、「集客数」「成約率(購買率)」「平均客単価」の3つの要素で構成されていることが分かります。このうちのどれを上げても売上は上がります。
②はLTV(生涯顧客価値)を算出する基本的な計算式です。LTVとは、一人の顧客が生涯にわたって企業にもたらす価値(利益)のことで、企業の売上に直結するものです。LTVの計算式は様々ありますが、シンプルに算出するなら上記の計算式になります。「平均客単価」「購買頻度」「継続期間(取引期間)」の3つの要素で成り立っており、このうちどれを高めてもLTVは上がります。
売上を上げる方法は大きく4つ!
売上を上げる本質的な方法としては、以下の4つが挙げられます。
新規顧客を獲得することで売上を上げる
過去に取引のなかった新規顧客を獲得できれば、売上を上げることができます。①の計算式における「集客数」が上がるからです。
新規顧客を獲得するための最適な方法は商品・サービスによって変わってきますが、代表的な施策としては広告出稿やWebマーケティング、SNSマーケティング、キャンペーンの実施などが挙げられます。場合によっては、新商品・新サービスの開発も新規顧客を獲得するための重要な戦略になってきます。
ただし、新規顧客の獲得に向いている業種・業態と、そうでない業種・業態があります。たとえば、ネット販売が可能な商品・サービスは新規顧客を獲得しやすいと言えますが、飲食店や美容サロン、フィットネスジムなど地域密着の店舗型ビジネスは、新規顧客を増やすと言っても限界があります。新規顧客を大きく増やそうと思ったら、別の地域に出店するなど多店舗展開が必要になるでしょう。
リピーターを増やすことで売上を上げる
一度きりの購買ではなく、継続的に購買してくれるリピーターを獲得できれば売上は上がります。②のLTVの計算式における「購買頻度」が高くなり、「継続期間(取引期間)」が延びるからです。
マーケティングの世界には、「1:5の法則」という有名な法則があります。これは、「新規顧客を獲得するためには、既存顧客を維持する5倍のコストがかかる」という法則です。売上を上げるためには新規顧客の獲得も重要ですが、既存顧客にリピーターになってもらったほうがコスパが良く、利益率が高まりやすいと言えます。
リピーターを増やすための施策としては、ポイントカードや回数券の発行、DMの送付、アプリの利用、定期購入商品の販売といった施策が代表的です。このような施策によって既存顧客と継続的にコミュニケーションを図ることで関係性が深まり、リピーター化を促すことができます。上述のとおり、地域密着の店舗型ビジネスは新規顧客を増やしにくいため、リピーターの獲得に力を入れることが大切です。一方で、そもそも購入する機会が少ない自動車や家電、家具などの販売は、リピーターの獲得がそれほど効果的ではない業種だと言えます。
平均客単価を引き上げることで売上を上げる
①②の計算式のどちらにも平均客単価が入っています。つまり、平均客単価を引き上げることができれば、売上を上げることができます。
平均客単価を上げるための施策としては、関連商品の販売(クロスセル)や上位商品の販売(アップセル)のほか、まとめ買いに特典を付けたり、取扱う商品数を増やしたりすることなどが挙げられます。飲食店の「ご一緒にデザートはいかがですか?」という提案や、Amazonでお馴染みの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」というレコメンドはクロスセルを促す分かりやすい例です。一人の顧客に複数の商品を買ってもらったり、より上位のサービスを利用してもらったりすることで客単価が上がり、売上も上がります。
既存商品に付加価値を付けて値上げすることでも客単価は上がりますが、価格を上げることで購買数が減るリスクもあります。値上げが受け入れられやすいのは、自動車やパソコン、旅行や結婚式など、購入・利用頻度が少なく、比較的高額な商品・サービスです。このような商品・サービスは顧客が時間をかけてじっくり比較検討するもので、高くてもその理由に納得してもらえれば購入・利用につながる可能性も高くなります。
成約率(購買率)を高めることで売上を上げる
①の計算式の要素である成約率(購買率)を高めれば売上を上げることができます。成約率を高めるための施策としては、営業力の強化や商品・サービスの改善などが挙げられます。
営業力強化に正解はありませんが、たとえば営業研修を受けたり、成約率の高い営業パーソンのノウハウを他の営業パーソンに共有したり、SFA(営業支援システム)を導入したりすることで、組織全体の営業力強化が見込めます。
また、商品・サービスの改善も重要な取り組みです。インターネットの普及により、企業に「お客様の声」が届きやすい時代になりました。お客様の声に真摯に耳を傾け、それを反映して商品・サービスを改善することで成約率アップにつながるはずです。
売上アップの成功事例
売上アップに成功している企業の取り組み事例を2つご紹介します。
塚田農場はポイントカードで売上アップ
エー・ピーカンパニーが運営する地鶏居酒屋チェーン「塚田農場」は、6割という驚くべきリピート率を実現し、売上を上げています。
塚田農場がここまでリピーターを増やすことができた秘訣は、ゲーミフィケーションの要素を取り入れたポイントカード戦略にあります。ゲーミフィケーションとは、ゲーム的な要素をゲーム以外の分野で応用する手法のことです。塚田農場のポイントカードは「名刺形式」になっており、来店を重ねることで顧客が「主任 → 課長 → 部長 → 専務 → 社長 → 会長・・・」というように昇進していくシステムになっています。さらに、昇進した際には「昇進祝い」のプレゼントがもらえます(このポイントカードシステムは現在アプリに引き継がれています)。
このようにゲーミフィケーションを取り入れることで、単なるポイントカードではなく、ゲームでレベルアップしていく楽しさを顧客に与え、リピーターの獲得に成功したのです。
パナソニックは会員サイトで売上アップ
パナソニックは、LTVの向上を目的として会員サイト「CLUB Panasonic」を運営しています。CLUB Panasonicに登録しているユーザーに会員情報に則した関連製品を告知したり、Webサイトの閲覧履歴を分析してニーズに合った製品をレコメンドしたりすることでクロスセルを促し、客単価の向上を実現しています。
また、エンタメ、レビュー、クイズ、キャンペーンなどあらゆるコンテンツを通して顧客とコミュニケーションを図ることで、顧客のファン化を促進。パナソニックというブランドに愛着を持ってもらうことで、アンケート回答やイベント参加に積極的になってもらうだけでなく、将来、他の商品を購入するときにパナソニックを思い浮かべてもらえるよう、様々な仕掛けを施しています。
売上アップのために活用できるシステム
売上アップに貢献してくれる有用なシステムが数多く登場しています。様々なシステムがあるなかでも、近年導入する企業が増えているのが「SFA」「CRM」「MA」の3つです。
SFA
SFA(Sales Force Automation)は日本語で「営業支援システム」と訳されるもので、営業活動をシステム化・可視化することで業務効率化や売上アップを支援することを主な目的としています。見込み客のデータやステータス、営業プロセスや案件の進捗、商談の内容や結果などを可視化して管理することで営業活動の効率化を図るのがSFAの特徴です。また、SFAに蓄積された営業データを分析することで成功パターンを抽出し、組織全体としての営業力強化につなげていきます。
SFAについては以下の記事で詳しく解説しています。
CRM
CRM(Customer Relationship Management)は、日本語で「顧客関係管理」と訳されるシステムで、顧客との関係を管理しながら、その関係性を長期的に深めていくことを主な目的としています。顧客データベースをもとに多角的な分析をおこない、顧客の特性やニーズに合わせたきめ細かな対応・サービスを実現することで顧客満足度の向上を図っていくのがCRMの特徴です。CRMによって顧客満足度が高まった既存顧客はロイヤルカスタマー(優良顧客)となり、LTVの向上に貢献します。
MA
MA(Marketing Automation)とは、企業のマーケティング活動を自動化するシステムのことです。一般的に、マーケティング活動はリード(見込み客)を獲得し(リードジェネレーション)、獲得したリードを育成し(リードナーチャリング)、購買意欲の高まったリードを選別して営業部門へ引き渡す(リードクオリフィケーション)という流れで取り組んでいきます。この「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」「リードクオリフィケーション」の3つのステップを自動化できるのが、MAの最大の特徴だと言えます。
リードについては以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
企業が売上を上げるためには、様々なマーケティング施策・営業施策を講じる必要があります。本編で解説したとおり、リード(見込み客)を獲得した企業はリードを育成して購買意欲を高めていくわけですが、そのベースになるのが見込み客の名刺情報です。しかしながら、営業パーソンが個々で名刺を抱えているなど、組織全体で適切な名刺管理ができている会社は多くはありません。
社内にあるすべての名刺情報をデータベース化し、一元管理・共有することでメールマーケティングの効果が上がったり、案件の発掘につながったりします。「名刺管理ができていない」「もっと名刺情報を活用していきたい」という企業様は、ぜひ名刺管理システムの導入をご検討ください。
初めての名刺管理には、シンプル&スマートな名刺管理システム「メイシー(maysee)」がおすすめです。メイシーは、アカウント数無制限で月額2,178円(税別)という業界最低価格で名刺管理ができ、紙の名刺のデータ化にも対応しています。たまった名刺を送付するか、スキャンしてアップロードするか、スマホアプリで撮影して送信すれば、メイシーのスタッフが正確に名刺情報をデータ化します。また、メールマーケティングに必要な機能を備えているほか、SFAシステムの「Salesforce」やCRMシステムの「Zoho CRM」との連携も可能です。