日々の名刺交換において、名刺の渡し方や受け取り方は問題ないとしても、「受けとった名刺の扱い方」に関しては自信のない人も多いのではないでしょうか。今回は、受けとった名刺の置き方や、名刺をしまう際のマナーなどについて解説していきます。
1 受け取った名刺は、どこに置くのが正解?
初対面の相手と名刺交換をして着席したら、テーブルの手前に受け取った名刺を置きます。
このとき、相手が一人の場合と、複数の場合では置き方が変わりますので、ビジネス上のマナ
ーとして押さえておきましょう。
1-1 相手が一人の場合
受け取った名刺は、テーブル手前の「自分から見て左側」に置きます。その際、名刺をテーブ
ルの上に直接置いてもよいのですが、名刺入れの上に置くのが「より丁寧な置き方」と言われ
ています。名刺は「人の顔」や「人そのもの」にも例えられます。名刺入れの上に「座布団」のよ
うにのせることは、相手への敬意の表現にもつながります。
1-2 相手が複数の場合
受け取った名刺が複数となる場合には、2 通りの方法があります。
一つ目は、相手が座っている席と対になるように並べるパターン。もう一つは、役職が高い順
に、左から右へと並べるパターンです。どちらも間違いではありませんが、相手の名前や役職
と顔が一致しやすいので、商談を進めるシーンでは、前者のほうをお奨めします。
相手が複数の場合、すべての名刺を直接テーブルの上に置くのが一般的です。最も役職の
高い人の名刺を、名刺入れの上に置くという方法もありますが、その人だけ特別扱いする印
象を与えてしまう恐れもありますので、そこまで気を遣わなくてもよいでしょう。
2 受け取った名刺をしまうタイミング
受け取った名刺をしまうタイミングは、基本的に商談や打ち合わせが終わったときです。商談
や打ち合わせが終わり、資料などを片付けるときに、「失礼いたします」とひと言添えて名刺を
しまうようにしましょう。
受け取った名刺を商談や打ち合わせの最中にしまうのはマナー違反であり、「早く終わらせて
帰りたいのかな?」と捉えられてしまう可能性もあります。ただし、テーブルの上に置く資料が
多い場合や、人数の割りにテーブルが小さくスペースが狭い場合は例外です。このような場
合は、「お名刺をしまわせていただきます」とひと言加えれば、商談中であっても名刺をしまっ
てかまいません。
3 知っておきたい名刺の扱い方のマナー
交換した名刺の扱い方に、その人柄が表れる場合があります。名刺の扱い方には次のような
マナーがありますので注意が必要です。
3-1 名刺の上に資料などをのせない
名刺は、いわば相手の顔。名刺の上に資料などを無造作にのせるのはマナー違反です。商談
や打ち合わせが終わるまで名刺をテーブルの上に並べて置くのは一般的なスタイルですが、
資料を広げた際に名刺が邪魔になりそうな場合には、名刺を丁重に扱い「失礼します」と言い
ながら、しまってもよいでしょう。
3-2 複数の名刺は重ねて置かない
これも、テーブルが狭い場合などで見かけるシーンですが、受け取った名刺を目の前に重ね
て置く行為は、相手によってはマナー違反に映ります。初対面の相手の名前を間違えないた
めにもテーブルの上に置いておきたいところですが、スペースが狭くこちらが複数の場合に
は、各 1 名分を残して共有するなど、臨機応変に対応しましょう。
3-3 目上の人より先にしまわない
テーブルに置いた名刺は、商談や打ち合わせが終わったタイミングでしまいますが、一般的に
顧客や目上の人より先にしまうのは良くないとされています。その場の状況にもよりますが、
相手が名刺をしまうのを確認してからしまうようにすれば失礼がないでしょう。
4 持ち帰った名刺はどのように管理・活用するのがベターか
受けとった名刺を、名刺ホルダーやファイルに入れて個人で管理する場合、名刺の余白に、相
手に会った日にちや、その人の特徴などを記入することによって、後日、再び会うときに役立
てようとする人も多いと思われます。
しかし、人の異動が頻繁におこり DX 化の進む現代のビジネスシーンにおいて、アナログな
名刺管理のままでは、情報の有効活用ができず、業務効率の低下を招きかねません。
このような観点から、近年では「名刺管理サービス」を導入する動きが活発化しています。
4-1 「しまっておく」から「活かす」という発想へ
従来、1 人の担当者の名刺は「紙」での保管が主流でした。しかし、特に営業部門において顧
客の名刺は、ビジネスを推進するうえで重要な情報資産であるとの認識が広がり、近年では
これを組織的に活用しようという動きが加速し始めました。
当初は、Excel 等の既存ソフトによって、「顧客リスト」として管理されることが多かったので
すが、年賀状・案内状の発送やメルマガ配信などに利用するのに留まり、また、各担当者によ
る更新作業の煩雑さから、Excel ではなく、「名刺管理サービス」と呼ばれる専用ソフトやア
プリが注目されるようになりました。
名刺管理サービスとは、社員が交換した名刺の全情報をクラウド上で一元管理できるシステ
ムです。それによっていつでも、どこからでも名刺情報にアクセスでき、各部署間でアップデ
ートされた情報を共有することが可能になりました。いまでは新たな顧客の開拓や CRM に
活用している企業も増えています。
4-2 DX 時代の名刺情報の活用法とは?
たとえば、20 名の営業担当者が、1 名につき平均で 300 人分の既存顧客と見込顧客の名
刺を持っていたとします。それを、従来のように各自が保管するのではなく、名刺管理サービ
スを使って組織的に管理しようと考えた場合、単純計算で 6,000 人分の名刺=顧客情報を
自社内で共有し活用できるようになります。
外出先では、スマホから素早く顧客情報にアクセスでき(6,000 人分の名刺を持ち歩くより
はるかに効率よく)、また、社内の他部署と連携した営業活動も可能になります。
このように名刺管理サービスは、管理というワク組みを越えて企業の DX 化と成長のために
必要なシステムの一部になりつつあります。
4-3 名刺管理サービス導入の注意点
名刺管理サービスを導入することによりビジネスのスピードが上がり、新規顧客の開拓等、ビ
ジネスチャンスが広がるというメリットが期待できます。しかし、名刺管理サービスなら何でも
よいわけではなく、以下のような面もあるので注意が必要です。
1) ランニングコストに加え初期費用がかかる場合があるので、コスパの良いサービスを検
討する必要がある。
2) テレビ CM などを打っている名刺管理サービスは、中小企業ではオーバースペックで無
駄な機能も多い。
3) スキャン、読み込んだ文字のチェック、修正など手間が意外とかかるので、簡単で使いや
すいものを選んだほうがよい。
5 まとめ
今回は、名刺交換をした後の名刺の置き方や、しまう際のマナーなどについて解説しました。
名刺交換は、リアルなビジネスの第一歩として、日本ではマナーが重視される傾向にありま
す。基本を身につけ、良好なビジネスの発展につなげていきましょう。
このブログの後半でも触れましたが、受け取った名刺の 1 枚 1 枚は、会社にとって重要な情
報資産になります。それに気がついた多くの企業が「名刺管理サービス」を導入し始めていま
す。現在では多数のソフトやアプリが出ていますが、ポイントはシンプルで、セキュリティが万
全で、コスパに優れていることです。メリットは充分に見込めますので、貴社でも検討されて
みてはいかがでしょうか。