名寄せとは?Excel(エクセル)で名寄せする具体的な手順や名寄せツールを使用した方法についても徹底解説!

顧客管理のために欠かせない作業のひとつである「名寄せ」。名寄せの手法にはいくつかのパターンがありますが、その中でもおすすめなのが名寄せを効率化させるツールの活用です。

今回の記事では名寄せツールを使うメリットや、ツール選びのポイントについて解説していきたいと思います。

そもそも名寄せとは?

名寄せとは、顧客情報の一元化や整理する作業のことです。名寄せをすることによって、顧客情報は管理しやすく業務上のミスを防ぐ効果を発揮します。

もし名寄せを行わなければ、増えていく顧客情報を管理することが徐々に難しくなっていきます。担当者の変更があったり、同一人物の重複があったりと、顧客の情報が増えることで実際の業務と関係の無いものまでデータが蓄積されていってしまいます。

名寄せの目的は顧客リストを定期的にメンテナンスすることで、効率的に顧客の情報を管理することです。顧客管理をスムーズに遂行するためにも名寄せは不可欠な作業と言えるでしょう。

名寄せを行うメリットとは?

名寄せをするメリットは、以下のように大きく2つあります。

・自社内の業務効率改善と営業活動の連携強化

名寄せの自社内での利点は、まず取引先データ管理が正確かつ楽になることです。名寄せして取引先を一番新しい情報にまとめられると、
その方の直近の肩書や所属部署や連絡をするための内線電話番号などが
正確に社内で共有することが可能になります。
それとともにデータ数が減り整理整頓され、管理しやすくなります。
また、実際の営業活動に使う際に先方の情報を間違えずに共有することが
可能ですので
営業活動をチームで行うことが可能になり、
営業活動の促進も期待できます。

このように名寄せによって営業先様の情報共有を最新に保つことで営業部の活動促進と属人化も防ぐことが可能です。

・取引先への重複連絡などのミス防止

契約成立やリード獲得のため、相手先へ失礼や迷惑になる行為は避けたいものです。
増えた名刺データなどで取引先情報が重複すると、メールなどでの営業活動の連絡も重複する可能性があります。
データが重複したり古いものをそのまま放置し、取引先の状態と違う不適切な挨拶(肩書を間違えて連絡しています等)や重複した連絡をすると、取引先管理がしっかりできていないということで、自社イメージが大きく損なわれかねません。
営業活動の中では担当者変更、引継ぎなどの機会もありますが
引継ぎをスムーズに行い、契約のチャンスを逃さないためには連携や共有強化は必要です。
メイシーなど名寄せ機能のある名刺管理システムを利用し、
安心して営業活動を活発化させていきましょう。

また近年、営業活動で得た取引先情報はクラウド上(SFA、CRM)で社内共有し、
有効活用する企業が増えてきました。
CRMとは、顧客連絡先ややり取りなどの顧客情報を管理することを目的としており、
一方SFAは、顧客情報を管理できる点でCRMと同じですが、
営業活動を促進させることにより特化したクラウドサービスです。

クラウド上で取引先情報を社内で共有することで、
営業活動の効率化や今後の企業方針の分析など、
今ある顧客情報を有効活用できるようになります。

CRMの意味・活用方法はこちら

SFAの意味・活用方法はこちら

名寄せを行う際の手順

冒頭でざっくりと名寄せには4つの工程があることを紹介しましたが、まずはその全体的な流れを確認しましょう。

・データ抽出

最初にデータ抽出の工程にて、複数のデータベースに顧客情報が管理されている場合にはひとつのデータベースにまとめる必要があります。

ふたつのデータベースから情報を参照することは難しいため、これをすることによって名寄せのツールを使用して複数の情報を同時に参照して正すことができるようになります。

競合の会社の買収や合併、もしくは部署ごとに扱っていたデータを共有するなどの事情によって顧客情報をまとめる場合などはここで同じデータベースにまとめていきます。

複数のデータベースがない、もしくは以前に統合を済ませていて継続的な運用という意味での名寄せをする場合には必要のない工程です。

・データクレンジング

その次にデータクレンジングという工程で、よく起きてしまいがちな表記ゆれを直してデータを綺麗にします。

例えば「ABC」を「エービーシー」や「abc」または全角で表記してしまっていることや、電話番号などのハイフンの有無、「株式会社」なのか「㈱」なのかといった表記ゆれが予想されます。

こういった表記ゆれをそれぞれ同じものに統一していきます。

日本語はひらがなやカタカナ、漢字やアルファベットなど使う文字種や略語が多いため、この工程が一番苦労する工程で難しいものと言えるでしょう。

この工程以降は継続的に行って名寄せを正確に行って運用していく必要があります。

長期的に名刺管理サービスやCRMを利用していく上では避けて通れない作業と言えます。

データクレンジングで注意したいポイントなど、具体的な活用方法はこちら

・マッチング

マッチングは綺麗にデータクレンジングされたデータを使って同じ顧客を割り出す工程です。

詳しくは後述しますが顧客情報を構成する要素の中から”キー”というものをツールに設定してデータベースを参照し、同じ情報のものをマッチングさせます。

データクレンジングだけを綺麗に行っていても、この工程以降が行われないままだと名寄せとは言えませんし、データクレンジングをする意味がなくなってしまいます。

それゆえにデータクレンジングと名寄せを同じ意味として捉えている方も多いです。

マッチングの細かい工程などを含めた名寄せの手順はこちら

・データ統合

最後に、マッチングされたデータを実際にひとつのデータに統合します。

複数の同じ顧客情報の内、新しい情報のものがあるなどの理由で内容が少し違う場合は確認や更新を同時に行います。

名寄せツールを使うメリット

名寄せを効率的に行うには、ツールの活用がおすすめです。

名寄せは紙の台帳を使ったアナログな手法やExcelなどを使ってもできますが、専用のツールを使ったほうが遥かに効率は良くなります。

名寄せにツールを使う最も大きなメリットは自動化と言えるでしょう。名刺を携帯電話でスキャンする、郵送するだけで、自動的に顧客情報の登録とデータクレンジングと呼ばれる仕分けをしてくれます。保管している名刺や顧客リストの量が多ければ多いほど、この自動化のメリットは大きくなっていきます。

また、情報漏洩のリスクを避けられる点も名寄せツールを使うメリットです。顧客リストは会社の財産とも呼べる非常に重要な情報です。もしこれが外部に流出した際は、取引先からの信頼を大きく損ねることともに、競合他社に自社の情報を盗まれるということも考えられます。

名寄せツールの多くは強固なセキュリティを有しているため、情報漏洩のリスクを限りなくゼロに近づけることができます。機密情報のひとつである顧客情報をデータで取り扱う場合は、しっかりとツールを活用して管理すると良いでしょう。

さらに名寄せツールには万全のサポート体制が用意されています。自前で顧客リストを名寄せする場合は、名寄せのための知識と問題が起きた際に自力での解決が求められます。しかし、名寄せツールであればプロに質問ができるカスタマーサポートや、名寄せに関する作業のアドバイスなどを受けることが可能です。

名寄せツールの選び方のポイント

名寄せツールはいくつかの種類があります。ここではどんな名寄せツールを使うべきかわからない方のために、名寄せツールの選び方についてご紹介しています。

まず第一に費用についてです。名寄せツールには無料のものから月額費用がかかるものまでさまざまあります。名寄せツールにどれだけの費用をかけるかは顧客リストの規模によって決めると良いでしょう。

もし膨大な量の顧客データを持っているのなら、名寄せツールを導入することで顧客管理を非常に簡略化することができます。有料のルーツは顧客管理の機能も豊富にありますので、費用をかけてでも名寄せツールを使うことをおすすめします。

その一方、取引先が少なく顧客データの量が多くない会社の場合は、無料の名寄せツールの活用や自社で管理するなどが望ましいでしょう。

次に名寄せツールの導入形態で選ぶポイントが挙げられます。名寄せツールには大きく分けてソフトウェア型とクラウド型があります。

ソフトウェア型名寄せツールは社内のサーバーにソフトをインストールし、自社で運用していく形となります。社内での使用が主になるため、独自のカスタマイズが可能な点やセキュリティの強さがメリットです。

しかし、導入コストが数万~数十万円と高くなるところと、自社運用が求められるためITに詳しい社員がいないとアクシデントに弱いというところが注意点です。

クラウド型名寄せツールの最大の特徴は、場所を選ばずどこでも使える点でしょう。出先や自宅からでもいつでも顧客情報の確認ができるので、外回りや出張の多い営業マンにとっての強い味方となります。

また、比較的安価で導入することができ、運用コストもかからない点も特徴です。機密情報を扱うクラウドサービスは強固なセキュリティシステムが組み込まれていますが、あくまでその安全性はサービス運営会社に依存する形となるので、そのことは頭に入れておきましょう。

Excelで名寄せを作る方法

こまで名寄せツールのメリットや選び方について解説してきましたが、名寄せツールを導入するほどの顧客データは無いという方や、無料で名寄せをしたいという方もいらっしゃるでしょう。

そんな方のために、こちらではExcelを活用した名寄せの方法について、3つのステップに分けてご紹介していきます。顧客情報をExcelで管理しているという方もぜひチェックしてみてください。

①整理

まずは顧客リストの整理をしましょう。ここで言う「整理」とは、顧客登録情報の表記ズレの修正や、登録データ形式の統一などを意味します。この整理ができていないと、後の工程でたびたび不具合が生じてしまいます。

この整理のステップはExcel関数を活用することで効率的に行うことが可能です。整理に使われる代表的な関数を以下に紹介します。ここで紹介するもの以外にもExcel関数はたくさんあるので、ご自身で調べてみることもおすすめです。

【顧客リストの整理に使えるExcel関数】
・TRIM関数:いらないスペースを削除したい
・ASC関数:全角文字を半角にしたい
・JIS関数:半角文字を全角にしたい
・TEXT関数:日付データを文字にしたい
・RIGHT関数、LEFT関数:セルの一部の文字を抜き出したい
・CLEAN関数:改行を削除したい
・CONCATENATE関数:複数のセルをひとつのセルにまとめたい

②絞り込み

次に必要なデータを抽出するための絞り込みの作業を行います。絞り込みの目的は読んで字のごとく、最終的な名寄せに必要な情報を選別することです。

絞り込みの基本はExcelの「オートフィル機能」です。このオートフィルを使うことによって、会社名や都道府県など項目ごとのデータを絞り込むことができます。オートフィルタは複数条件の選択が可能なので、「関東地方の、○○グループの取引先」というような絞り込みも可能です。

さらに細かな絞り込みをしたい際には、if関数を使うといいでしょう。if関数は、「もし○○が××であれば、●●と表示、そうでなければ××と表記」という絞り込みをしたいときに使われます。

実際の例を挙げると、「もし○○商事との取引価格が100万円以上であればAランク、そうでなければBランク」といった使い方が考えられます。

if関数を使いこなせるようになると顧客情報の絞り込みが非常に細かくできるようになるので、より詳細な絞り込みをしたいという方はぜひマスターしてみてください。

③統合

最後に絞り込んだ情報を統合して名寄せは完了となります。この統合の作業が名寄せの本質と言っても過言ではありません。

結合にはExcelのVLOOKUP関数を主に使います。VLOOKUP関数を簡潔に説明すると、「このセルに特定の文字を打ち込むと、設定した文字がほかのセルに自動的に入力される」という設定のことです。

名寄せにVLOOKUP関数を使うメリットは、複数のExcelページからひとつのページに必要な情報をまとめることができる点にあります。例えば、顧客プロフィール情報と購買データを別々のExcel表で管理している場合、VLOOKUP関数を使うことでそれらの表から必要なデータをだけ取り込むことができるのです。

VLOOKUP関数を駆使することで、顧客コードをもとにした、住所や担当者、取引金額、ランク分けなどの項目をひとつの表にまとめることができます。

Excelで詳細な名寄せをする際にVLOOKUP関数は欠かせません。始めは難しく感じるかもしれませんが、やっていくうちに慣れていきますので少しずつチャレンジしていきましょう。

まとめ

名寄せはツールを使うことによって効率的に行うことができるようになります。

自社で名寄せの作業をすることも可能ですが、より正確でスピーディーな顧客管理をする際に名寄せツールは大きな助けとなるはずです。

名寄せの管理に苦労している場合は、名寄せツールの導入をぜひ検討してみてください。