名刺のデータをデジタルで保存する時に気をつけておきたいリスクとは

名刺データをデジタル管理している方が多くなっていると思います。しかし、デジタル管理だから安全ということではなく、データの消失や紛失、サーバーの故障、不正アクセスなどデジタル管理ならではのリスクが存在します。

名刺データの保存方法にも自分のパソコンに保存する方法から、名刺管理サービスなどのクラウドデータに保存する方法まで多種多様となっています。皆さんはどのような方法で名刺データの管理や保存を行っているのでしょうか。

今回は、名刺データをデジタルで保存している時に気をつけておきたいリスクとその対策について紹介していきます。知らなかったでは済まされないこともありますのでしっかりとリスクを認識して対策を打つようにしていきましょう。

名刺データはどこに保管されているの?

まず初めに、名刺データの保管場所についてです。いったいどこに保管されているのかご存知ですか。ご自身の机やノートなどでアナログ管理をしている人以外は、何かしらのシステムを利用しているはずです。

名刺管理のデジタル管理方法としては、大きく分けるとスキャナーで取り込み、OCR機能でデジタル化して管理する方法とスマホなどのカメラでデータを取り込み名刺管理専用のアプリ内で管理する方法が主流となっています。

データ化された名刺の情報はテキスト化され、個人であれば自分のパソコンの中へ、そして、多くのサービスではクラウド上に保管されているのです。

名刺データがクラウドで保管されている場合のリスクは?

ところで名刺データがクラウド上で保管されている場合に、私たちにはどのようなリスクがあるのかご存知ですか。非常に便利な半面、様々なリスクもあるので、リスクを回避できるよう理解を深めましょう。

個人情報保護法リスク
代表的なリスクとしては、名刺に含まれる個人情報の流出なのです。個人情報は、色々な事業をするにあたって必要不可欠な情報なのですが、その反面、法律により守られているため、不正アクセスを受けその情報が流出したり紛失したりすると、事業継続に大きなインパクトを与えるのです。

個人情報保護法とは?
個人情報保護法とはそもそもどのような法律なのか確認していきましょう。法律の制定は2003年で2005年の4月から施行されています。

個人情報保護法は、インターネットの普及や、多くのデータを取り扱えるIT技術の進歩などから、個人情報をデータ化して活用することが期待された頃に、このデータに不正アクセスを行い、悪用することについても懸念がされたため、個人情報を取り扱う企業に対して個人情報を厳格に取り扱うことを明文化したものなのです。

個人情報保護法は、個人情報を取り扱う事業者を対象としているため幅広い企業が対象となっていて、個人情報をパスワード管理するなどの適切な取り扱いをしなかった場合には、刑事罰が科されるのです。

名刺データ消失リスク

名刺データの保管は、自社管理と専門業者管理の手段がありますが、専門業者管理の方がより安全とはいえ不正アクセスやデータ消失リスクは必ずあると考えられています。

なぜかというと、データを管理しているクラウドサービスに障害が起こる可能性は0ではなく、預けている専門業者のサーバーに対してサイバー攻撃をうける可能性もあるのです。

そして、消失しただけならまだしも、クラウドサービスに預けている個人情報が漏洩し悪用されるという恐れもあるのです。

その他にも、契約していた専門業者が突然事業継続を中止して、データの提供を止めてしまう可能性もないとはいえません。

リスク回避のために気をつけておくことは?

このように個人情報である名刺データを取り扱う場合には、様々なリスクに対応するために、できる限り気をつけておきたいことがあります。

不正アクセスから守るために、アプリのパスワードを長く複雑なものに設定し、定期的に変更するのは当たり前として、その他いくつか紹介していきますのでこれから個人情報をデータ化しようとお考えの方は参考にして下さい。

信用できる会社を選ぶ
個人情報の取り扱いについては、何かが起きた場合には常に自社が責任を負わざるを得ません。そのため、その重要な個人情報を預ける専門業者を選ぶ際に大事なことは信用できる会社であることです。

ある程度歴史があり、過去に大きな問題を起こしていない専門業者に預けるようにしましょう。もちろん新しいサービスを提供する会社も日々出て来ていますので、選択肢に入れることは大事ですが、本当に信用できるのかどうかをご自身の目でしっかりと確認することが必要です。

安心して個人情報を預けられる企業かどうかは、企業ホームページにプライバシーマーク、ISMS認証マークがあるかどうかで判断することができます。どちらも取得後1年〜2年に1度、厳しい更新審査があり、個人情報の取り扱いで問題が起きていた場合は認証を剥奪されるため、企業ホームページに各認証ロゴが表示されていればまず安心です。

預ける会社を選択する時のポイント
個人情報を預ける専門業者を選ぶ時のポイントとしてチェックしておきたいことは、パスワード管理や認証情報の取り扱い、サーバーのサイズや容量などと共にデータ保管をするサーバーがどこの国に設置されているのかも重要です。

費用の関係から海外にサーバーを設置する会社も増えてきています。これはこれで運営費用を削減するためには有効な手段なのですが、その半面、何かが起きた時の対処に問題が生じる可能性があるのです。

その問題とは、情報が紛失したり、漏洩したりした時に日本国内にサーバーがないと日本の法律が適用されない、ということです。本来ならば事業継続のために受けられる保証などが、日本の法律が適用されないため、適用外になってしまうのです。

よって個人情報を預ける会社を選ぶ時のポイントとしては、情報を保管するサーバーが日本国内にある会社を選択することが一つのポイントとなるのです。

利便性を考えるなら占有サーバーを
また、名刺データの活用をスピーディーに行いたいとお考えの方は、契約しようとしている専門業者のサーバーが自分の会社だけの占有サーバーか複数の利用者が存在する共用サーバーなのかの確認もしておきましょう。

共用サーバーの場合には、自社に割り当てられる容量が不足し、その他の会社がサーバーにとって負荷の高い作業を行わせている場合には、サーバー全体の処理速度が下がってしまうため、自分の会社のデータ処理にも影響が及んでしまうのです。

頻繁にアクセスして利用頻度が高いと想定される場合には、そのようなトラブルを回避するためにも共有サーバーを避けて、占有サーバーを選択することをおすすめします。

バックアップは必ず実施すること
このように名刺データを含むデータ管理には、少なからず紛失や消失の可能性は否めません。よって大事なことは、そうなることを想定して定期的なバックアップをすることが極めて重要なのです。

無料の名刺管理アプリは安全?

ここまで名刺情報を管理する場合のリスクや注意点を紹介してきましたが、最近多く見られるスマホで簡単にできる無料の名刺管理アプリの安全性はどうなのでしょうか。手軽に始められるのでやはり気になりますよね。

スマホでの無料名刺管理アプリは、有名なサービスのアプリでも無料で使用できる場合があります。無料では機能が制限されることもありますが、必要最低限の機能は使用でき、またセキュリティの心配もありません。

名前を知らないアプリに情報を預けるのは不安ですし、サービスがどれほど継続されるかも分からないので、仕事で使うのはやめておきましょう。ただ、プライベート用として使用する分には問題無く便利に使えますよ。

どのような名刺管理を選ぶべきか?

名刺情報を預けるための業者を選ぶポイントをいくつか紹介してきましたが、ではいったいどのような会社を選択すればいいのか確認していきましょう。

まずは、有料か無料かということでいけば、仕事で使うならば有料、個人的に使うのであれば無料サービスを選ぶことをおすすめします。

そして、その会社が本当に安全かどうかの一つの基準がプライバシーマークを取得しているかどうかです。

プライバシーマークとは個人情報保護の体制ができていると国から認定された会社のみに与えられる基準で、このマークを取得している企業であれば、まずは安全といえるでしょう。

また、もう一点は少しマニアックになりますが、ユーザー側からIPアドレス制限がかけられるような仕組みを持っている会社を選択すると、外部からの不正アクセスの遮断や、名刺データの勝手な持ち出しなどを防ぐことができるのでより安心です。

名刺管理ツールの検討は慎重に

今回は名刺データをデジタルで保存する時にどのようなリスクが考えられるのかを整理してみました。名刺という個人情報を保存するので、情報を漏らしてしまうリスクは避けなければなりませんね。

個人情報を取り巻くリスクとしては、データへの不正アクセスや改竄などが考えられ、それらへの対策が採られていることが最重要課題といえます。

現在多くの名刺管理サービスが世の中にはありますが、見極めのポイントは個人情報保護に対応しプライバシーマークを取得しているか、という点です。

また、デジタルデータは消滅するリスクもあるので、それに備えて必ずバックアップデータを取っておく体制も整えておきましょう。