名寄せのマッチングはどういう工程で行われる?注意点は?

そもそも名寄せはなぜ必要なのか?
具体的なメリット、手順などはこちら

名刺管理サービスを利用して顧客管理を長く続けていく上で、ミスなく仕事をこなしていくために重要になってくる”名寄せ”という作業。

同じ顧客が別のデータとして複数件登録されていないかを洗い出し、該当したデータをひとつのデータに統合する作業のことです。

顧客データがダブったまま放置していると、顧客とのやり取りを正確にメモしておくことができなくなってしまったり、それによって同じ内容の営業やDMを複数件送ってしまったりして顧客の信頼を損ねてしまうリスクがあります。

名刺管理サービスを運用していく上ではこのような事故を減らすために、定期的に名寄せをして顧客のデータを綺麗で有用なものとして保っておく必要があるわけです。

この名寄せの工程は大きく分けて4段階あり、「データ抽出」「データクレンジング」「マッチング」「データ統合」という順で進めていきます。

今回はこの中でも「マッチング」の工程にスポットを当てて「マッチングとはどういう作業なのか?」「どのようにマッチングをさせるのか?」「どういったことに注意すれば良いのか?」といったことにフォーカスして詳しく紹介します。

名寄せの全体的な手順

冒頭でざっくりと名寄せには4つの工程があることを紹介しましたが、まずはその全体的な流れを確認しましょう。

・データ抽出
最初にデータ抽出の工程にて、複数のデータベースに顧客情報が管理されている場合にはひとつのデータベースにまとめる必要があります。

ふたつのデータベースから情報を参照することは難しいため、これをすることによって名寄せのツールを使用して複数の情報を同時に参照して正すことができるようになります。

競合の会社の買収や合併、もしくは部署ごとに扱っていたデータを共有するなどの事情によって顧客情報をまとめる場合などはここで同じデータベースにまとめていきます。

複数のデータベースがない、もしくは以前に統合を済ませていて継続的な運用という意味での名寄せをする場合には必要のない工程です。

・データクレンジング
その次にデータクレンジングという工程で、よく起きてしまいがちな表記ゆれを直してデータを綺麗にします。

例えば「ABC」を「エービーシー」や「abc」または全角で表記してしまっていることや、電話番号などのハイフンの有無、「株式会社」なのか「㈱」なのかといった表記ゆれが予想されます。

こういった表記ゆれをそれぞれ同じものに統一していきます。

日本語はひらがなやカタカナ、漢字やアルファベットなど使う文字種や略語が多いため、この工程が一番苦労する工程で難しいものと言えるでしょう。

この工程以降は継続的に行って名寄せを正確に行って運用していく必要があります。

長期的に名刺管理サービスやCRMを利用していく上では避けて通れない作業と言えます。

・マッチング
マッチングは綺麗にデータクレンジングされたデータを使って同じ顧客を割り出す工程です。

詳しくは後述しますが顧客情報を構成する要素の中から”キー”というものをツールに設定してデータベースを参照し、同じ情報のものをマッチングさせます。

データクレンジングだけを綺麗に行っていても、この工程以降が行われないままだと名寄せとは言えませんし、データクレンジングをする意味がなくなってしまいます。

それゆえにデータクレンジングと名寄せを同じ意味として捉えている方も多いです。

・データ統合
最後に、マッチングされたデータを実際にひとつのデータに統合します。

複数の同じ顧客情報の内、新しい情報のものがあるなどの理由で内容が少し違う場合は確認や更新を同時に行います。

どのようにマッチングさせる?

マッチングをさせるにはまず、顧客情報の内いくつかの要素の中から”キー”というものをいくつか設定します。

どの部分を参照して同じデータでありそうかを判断するのかという部分を設定するということですね。

例えば、名前以外に電話番号や役職が同じというデータが複数あった場合、そのデータはダブってしまっている可能性が高いと言えるでしょう。

この場合の”電話番号”や”役職”の部分をキーの要素として設定しておくことでツールがマッチング作業をしてくれて、条件に合うものがあればヒットするというわけです。

こうして設定されたキーを参照して同一人物かどうかをツールが判断していくという工程がマッチングというものになります。

「名前と電話番号」でマッチングしなかったものも、実は後にダブりで登録してしまったものは電話番号が変更されていて「名前と役職」ではマッチングするといったこともありますので、いくつかのキーでマッチングするかどうか試してみることも大切です。

その他にも特に女性の場合には苗字が変わっていたり、男性の場合でも「渡辺」と「渡邉」といったように登録する文字が微妙に間違ってしまっていたりすることも考えられます。

ツールを使用することで、このように様々な角度からマッチングしてみることで精度の高いマッチングをすることができるようになるでしょう。

・マッチング時にはこんなことに注意!

名前と苗字の両方が一致していないと上手くマッチングできません。前述のように誤字があったり苗字が変わっていたりしないかというチェックは必要です。

苗字のみの記録をしていて名前が登録されていない場合などもマッチングの対象ではなくなってしまいます。名刺管理サービスを利用して顧客を管理する場合は名寄せを見越してフルネームでの登録をおすすめします。

また、同じ会社に同姓同名の人物がいる場合などは同一人物としてマッチングしてしまう可能性があります。もし同姓同名の人物が同じ会社に在籍している場合などは名前の後にAやB、役職や案件名といった記号や特徴を付けるといった工夫をすることで名寄せを回避しましょう。

前提としてデータクレンジングを丁寧に

名寄せのマッチングを正確に行うために必要な前提がデータクレンジングの工程です。

データクレンジングによって表記ゆれをしっかりと正せていないと、実際には同じ人物のデータだとしてもマッチングは上手く機能しません。

こういった事故を防ぐためにデータクレンジングの段階で細かく表記ゆれを直しておく必要があります。

先程紹介した4ステップの内、データ抽出以外の部分に関しては継続して定期的に行っていく必要があります。

なのでデータクレンジングが必要ない環境を作るというのも今後の作業効率を上げるためにはとても有効な手段です。

表記ゆれが起きそうな部分を社内で共有して、その部分はどのように表記するかをあらかじめ決めてしまった上で運用することで、データクレンジングをする必要が少なくなります。

例えば前述の例で言うと「株式会社 ABC」は「社内での名刺管理サービスの表記では「㈱ABC」とする」「電話番号などの表記は半角数字でハイフンは使用しない」というようなルールを設けて運用することで、データクレンジングの必要性が劇的に少なくなるでしょう。

もう少しだけ転用しやすいように抽象化したルールの例として、「株式会社」の表記は前株や後株、㈱か株式会社かなどのその会社の正式名称に関わらず「どの会社の表記も前株で㈱とする」などの社内ルールがあると、新規開拓した顧客の情報の登録もスムーズにいくでしょう。

データを扱う上ではこのように、できる範囲で必要のない仕事を減らしていくことで効率よく運用していくといったテクニックもおすすめです。