SFAで営業支援!名刺管理とSFA連携が成約率アップの近道に

ここ十数年の間、名刺を会社の資産と捉える考え方の広まりに伴い、日々の営業で手に入れる名刺をもっと戦略的ビジネスに役立てようという動きが広がってきています。

この数年ではテレビコマーシャルの影響もあり、名刺管理システムを導入した企業の数も大きく増えているようです。

そして今、こうした流れの中でさらに注目を集めているのが、名刺管理とSFAシステムを連携することによって、複数の角度からより効率よく企業の収益拡大を図る方法です。

SFAとは、営業部門の業務効率化や業績の底上げなど営業活動のサポートに特化したビジネスアプリです。

しかし、SFAシステムにも、名刺管理システムのように顧客情報を一元化し活用する機能が見られることから、両システムの違いをきちんと理解していない場合、名刺管理システム単体の利用もしくはSFAシステム単体の利用で良いのではないかと判断し、両システムの連携運用を諦める会社もあるようです。

これはとても残念なことです。

なぜなら、これから先のビジネスにおいて、顧客の多様化したニーズを的確に捉えスピーディーに対応していくためには、名刺管理とSFA(営業支援システム)の連携は企業にとって非常に大きな強みとなるからです。

今回は、名刺管理とSFA(営業支援システム)の違い、そして、名刺管理にSFAを連携させることのメリットについてお話ししますので、SFA導入の参考にしてください。

名刺管理とSFAの違いとは?

先程もお話ししたとおり、名刺管理システムとSFAシステムに共通した機能があるがゆえ、それぞれの特徴をきちんと理解されないこともあるようです。

ですので、ここではまず名刺管理システムとSFAシステム両者の違いを明確にしておきましょう。

名刺管理システムとは、社員が手に入れた名刺データを社内で共有し、入手した日付順やアイウエオ順など規則性を持たせて並び変えたり、会社名でグルーピングしたり、効率的に検索・閲覧できるよう管理するシステムです。

名刺管理システムの主な目的は、あくまでも『名刺情報を収集・蓄積し、知りたい名刺の情報にすぐにたどり着けるよう効率的に管理すること』ですから、名刺管理システムには、ビジネス顧客に限定することなく社員が入手したすべての名刺情報が広く蓄積されることになります。

そして、データ入力にはドキュメントスキャナーやスマホのカメラなどを用いることが多く、名刺に記載してある内容をデジタル化して取り込むことができるため、精度の高い情報をスピーディーかつ簡単に入力できるメリットがあります。

名刺情報に多少のメモを加えられるものもありますが、あくまでもメインの働きは名刺情報の蓄積管理ですので、簡易な補足程度と考えた方が良いでしょう。

SFAシステムとは「Sales Force Automation(セールス フォース オートメーション)」の頭文字を略したもので、日本語では「営業支援システム」と表現されることが多く、『営業部門の業務効率アップと営業力を強化すること』を目的として使われます。

報告作業などデスクワークが効率化されるほか、顧客情報・コンタクト日時・商談内容などの営業プロセスが可視化され、営業スタッフがそのデータを共有することで営業力のレベルアップを図ります。

わかりやすく言うと、業績の良い社員が顧客とどのようにコンタクトを取り商談を進めていったのかという商談成立までのプロセスを、契約に結びつく営業ノウハウとして会社のデータベースに蓄積し、スタッフ同士で共有することで営業力の底上げにつなげるということです。

またそのほかにも、蓄積されたデータを基に緻密な集計や分析も行ってくれるため、営業スタッフは契約に結びつきやすいタイミング予測に合わせて商談を持ちかけることもできます。

つまり、SFAは営業スタッフが効率よく商談成立にたどり着けるようサポートしてくれる、営業活動に特化したシステムと言えるでしょう。

SFA(営業支援システム・ツール)とは?特徴や機能、導入メリットを徹底解説

SFAとCRMの特徴・機能の違いを詳しく解説

営業活動の効率化や営業支援システムの話になると、SFAと同様に「CRM」という言葉を耳にする人も多いのではないでしょうか?

CRMとは、「Customer Relationship Management(カスタマー リレーションシップ マネジメント)」を略したもので日本語では「顧客関係管理」と表現される、顧客と企業の関係性を良好に保つために役立てられるビジネスアプリのことです。

CRMもSFAと同様に正式名称から頭文字3文字を略して呼ばれたり名刺情報を扱ったりする共通点からか、SFAとCRMを混同してしまう人も多いようです。最近ではSFAとCRMを統合したビジネスアプリが増えていて、SFAとCRMの境界線が曖昧になりつつあることも影響しているのかもしれません。

とは言え、SFAとCRMは本来の目的が異なるシステムですので、基本的に備わっている機能も大きく違い異なります。

CRMシステムの主な機能

・顧客データベースの管理:履歴管理、顧客の属性によるグループ分けなど

・ソーシャルメディア関連:ソーシャルメディアの運営・管理

・プロモーション関連:メルマガなど一斉メール管理,キャンペーンなどの告知や効果測定,Webサイトのアクセス解析

・顧客サポート:セミナーなどイベント管理,顧客アンケート調査

CRMシステムを利用すると、プロモーションやイベント・アンケートを通じ普段の営業では得られない顧客情報が手に入れられ、効果的にマーケティング活動を行えます。また、顧客のセグメントに合わせて的確なフォローを行うことで顧客の満足度の向上へつなげられたり、より高い製品(サービス)やさらに別の製品(サービス)の購入につなげられたりします。

SFAシステムの主な機能

・顧客管理:企業情報,案件内容,担当者情報,営業スタッフコメント

・案件管理:商談内容,折衝記録

・スケジュール管理:行動管理,プロセス管理

・営業効率化:To Doリスト,通知アラート

・書類作成:活動報告,見積書作成

・集計:予算,実績

・データ分析レポート:成約済み案件,成約見込み案件

SFAシステムを利用すると、業務の進捗状況が視覚化されて次に取るべき行動が明確になったり、To Doやアラートで漏れを防げたり、効率よく営業活動が行えます。

また、商談成立にたどり着くまでの電話の回数など数値化できる内容や接触方法を営業活動の成功プロセスとしてデータベース化できるため、商談成立に向けて必要な営業活動の情報を網羅しながら適切に対応できるようになります。

結果的に属人的で非効率な営業を脱し、営業部門全体で成約率と実績の向上を図ることができるのです。

CRMとSFAそれぞれの機能をよく見てみると、CRMで収集される顧客情報は営業部門に限らず、マーケティング部門や情報システム部門など社内いくつもの部署でアウトプットされる内容なのに対し、SFAで収集される顧客情報はほとんど営業部門でアウトプットされる内容となっていることにお気づきでしょうか?

CRMが『経営のためのシステム』SFAが『営業のためのシステム』という表現で区別されるゆえんは、このように情報のアウトプット先の違いからなのです。

名刺管理とSF連携、相乗効果によるメリットとは

では最後に名刺管理システムとSFAシステムを連携させることで得られるメリットについてお話しします。

名刺管理システムとSFAシステムを連携させるメリットを一言で表現するなら、お互いにないものを供給し合え、さらなる営業生産性の向上につなげられるということです。

SFAシステムの機能やSFAシステム導入により営業力の強化が図れるということはおわかりいただけたかと思いますが、それらと名刺管理システムの機能が組み合わさることで、以下のようなメリットが得られます。

1.簡単・スピーディー・正確に名刺データを入力できる

名刺管理システムの多くはスキャナーやスマホのカメラを使い、効率的に名刺情報をデジタル化して蓄積できます。SFAにはない機能なので、顧客情報の入力の手間が大きく軽減されて時間に余裕が生まれます。また、取引先担当者の変更や役職名の変更があった場合、最新の内容に上書きする名寄せ機能により、自動的に最新の顧客情報を保持できます。

2.ビジネスチャンスが広がる

名刺の一元管理で顧客以外にも幅広く名刺も管理できるので、潜在的なビジネスチャンスが拡大されリード層を創出しやすくなるでしょう。名刺管理システムには商談先の組織図などを可視化できるものもあるので、人脈を生かした営業活動もしやすくなるでしょう。

名刺管理とSFA連携は業績アップの近道

今回、名刺管理システムは「名刺の情報を効率的に管理すること」に特化し、CRMシステムは「顧客との良好な関係性の構築」に、SFAシステムは「営業活動の効率化と生産性の向上」に特化しているなど、利用目的がそれぞれ異なることがわかりました。

企業によって営業内容や会社の規模も異なります。今自分の会社に必要とされる機能は何なのか、よく見極めたうえ最適なシステムを導入しましょう。

また、名刺管理システムとSFAはそれぞれ利用目的が違っても、連携させることで大きな相乗効果が得られ、さらなる業務効率化や生産性向上に役立てられます。

短時間で効率よく正確性の高いデータの収集が行えて、営業スタッフが顧客との営業活動に比重を置くことができる環境を高めることが、業績アップの近道になるでしょう。