普段から、ほぼ儀式化されたように交換している名刺。
書かれている事項に関して大きな違いはなく、おおむね会社名に始まり所属部署・役職・氏名・住所・電話番号・メールアドレスと続く見慣れた形式であるため、一目見ただけで内容を理解できるものがほとんどです。
ところが、それは日本の名刺に限ってのこと。
このグローバル社会で、海外で取引をする企業は増加の一途をたどっています。海外出張はもちろん、国外に事業所を置く企業も多く、必然的に外国語の名刺と名刺交換する機会も増えています。
そこで必要になってくるのが、日本語以外の言語にも対応できる名刺管理アプリです。
名刺管理するうえで、名刺情報の正確性はとても重要な意味を持ち、データ化において正確な文字の読み取りは不可欠です。また、必要な言語に対応でき、機械認識でタイムラグをなくすことは海外とリアルタイムで情報共有できるという非常に大きなメリットを生み出します。
そこで今回は、世界に顧客を広げる企業に役立つ、日本語以外の言語にも対応できるクラウド型名刺管理アプリをご紹介します。
日本語と並び対応可能なのが英語
まず、世界の共通語と言える英語に関しては、日本でもアルファベットの使用が多く浸透しているためか、日本語と並んでほぼ同等に使用できるものがほとんどのようです。
ちなみに、3か国語以上に対応しているアプリは基本的に日本語+英語+αとなりますので、こちらの項でご紹介するアプリ以外でも多言語対応のアプリは英語対応できるものと捉えて大丈夫でしょう。
・「名刺de商売繁盛」
ヤマト運輸でおなじみヤマトホールディングスのグループ企業であるヤマトシステム開発株式会社から発売されている名刺管理システムが「名刺de商売繁盛」です。個人情報を守るプライバシーマークやISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証も受けており、セキュリティ面でも安心できるシステムと言えるでしょう。
「コンタクト」機能で商談を管理したり、オプションのDM機能やアンケート機能を利用して自社システム内で顧客サポートができたりするほか、外部の基幹システムを用いたSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係性マネジメント)などに連携することもできます。
名刺をデータ化できるのは基本的に日本語と英語で、中国語にはベストエフォートという形で対応しています。月額3万円に対しOCRで20万枚のスキャンが可能というコストパフォーマンスの良さから、従業員数が多い企業や名刺交換の機会が多い企業におすすめです。
・「SmartVisca」
SmartViscaは、Salesforceを提供する株式会社セールスフォース・ドットコムのプラチナパートナーである株式会社サンブリッジが販売する名刺管理・活用のソリューションです。SmartViscaでデータ化された名刺情報は、クラウド上のSalesforceのデータベース内に蓄積・保管され、安全に活用できるようになっています。
名刺情報の取り込みにはスキャナーとスマートフォンのカメラを使用し、OCRで処理しきれなかった場合はオペレーターによる補正が行われるという2段階チェックで完了されるため、デジタル化精度はほぼ100%と言われています。また、この名刺スキャンの際には、手書きされたメモなども読み込めるほか、分類したリスト名や名刺交換日などを同時に登録することもできます。
言語は日本語・英語・中国語の3か国語に対応していますが、中国語に関しては、ベストエフォートでの対応となっていますので、注意が必要です。
・「Wantedly People」
「Wantedly People」は、ウォンテッドリー株式会社から提供される無料の名刺管理サービスです。社内の名刺一元化に利用というより、ビジネスパーソンが広く人脈を発展させることに力を発揮する名刺管理システムと言えるでしょう。
独自開発の人工知能を搭載したOCRが読み取れる言語は50言語以上と広範囲に及び、その中でも英語圏・中国語圏においては、ウォンテッドリー株式会社が独自に開発した人工知能が各国・各地域ならではの名刺レイアウトを学習し、使えば使うほど読み取り精度がアップするというものです。
また、同時に撮影した最大 10 枚までの名刺をリアルタイムに解析し、瞬時にデータ化できる優れたOCR機能でもあります。
中国語、韓国語に対応
日本を筆頭に東アジアにおける名刺の利用頻度は高く、また、日本と地理的にも近い中国・香港・台湾・韓国の企業と取引を行う機会が多いため、名刺管理システムの言語でも日・英・中・韓の組み合わせで対応しているものが見受けられます。
また、GDP世界第2位の中国を相手にする可能性は今後もっと高まると予想されますので、これから外国語対応できる名刺管理アプリを検討するならば、中国語が含まれている方が将来性も高いと思われます。
ただし、中国語は国や地域によって違いがありますので、簡体字・繁体字のいずれにも対応できるのかという点にも注意が必要でしょう。
・「ホットプロ」
「ホットプロファイル」とは、株式会社ハンモックが提供するクラウド型「名刺管理、営業支援ツール」です。名刺のデータ化・管理以外にも、DMや会社サイトの閲覧履歴から見込み客を発掘したり、商談プロセスを管理したりでき、簡易的ながら営業支援を行えるのが特徴です。
ユーザーがいくつものツールを使い分ける必要がなく営業に集中できるというメリットもあるため、名刺を管理すると共に効率よく活用したいと望んでいる企業におすすめのシステムと言えます。対応言語は日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字)で、スキャナー・複合機・スマホアプリから取り込まれたデータをOCR処理した後、オペレーターによる修正作業が行われます。
・「myBridge」
「myBridge」はSNSでなじみのあるLINE株式会社から提供されている、ビジネス向けの無料名刺管理アプリです。名刺情報を社内でシェアできる機能「共有名刺帳」のほか、オンライン会議の対面時にスマートな名刺交換ができる「オンライン名刺」機能も備わっているのが特徴で、リモートワークを行っている企業におすすめの名刺管理ソフトと言えます。
名刺データの読み込みは、スキャナーもしくはスマホでの撮影となり、OCR機能とオペレーターによる補正で正確にデータ化されます。名刺入力が可能な言語は日本語・英語・韓国語ですが、中国語による名刺入力の運用も試験的に行われているようです。
次いで話者人口の多いスペイン語と東南アジア圏言語
こちらでは、世界で話者人口が3番目に多く、21か国で公用語として使われているスペイン語に対応する名刺管理アプリと、近年ますます経済や文化の結びつきが強まってきている東南アジア圏言語に対応できるアプリをご紹介します。
【スペイン語】
・「CAMCARD BUSINESS」
CAMCARD BUSINESSはアメリカに本社を置くINTSIG Information Co, Ltd.が開発した名刺管理システムで、簡易的な商談やタスクの管理機能まで備わっているため、SFAとしても利用できます。最短5秒で名刺をデータ化できる優れたOCR機能を持ち、さらにオペレーターによる入力補正で、高精度の名刺データ取り込みが可能です。
日・英・中・韓の4か国語はもちろんのこと、スペイン語・フランス語・ドイツ語などヨーロッパの主要言語や北欧系のフィンランド語・デンマーク語・ノルウェー語など計17言語に対応できます。
ロシア語や北欧系言語の名刺にも手入力補正サービスを行っている数少ない名刺管理システムですので、海外との取引が多い企業や海外に支社を置きグローバルなビジネス展開をしている企業にとって、リアルタイムで情報共有ができるシステムは心強い味方となるでしょう。
【東南アジア】
・「Evernote」
アメリカに本社を置くEvernote Corporationにより開発提供されているEvernoteは名刺を始めとするテキストや画像のみならずWEBサイト・音声といったあらゆるデータをクリップし管理できるサービスです。
世界最大級のビジネスSNSである「LinkedIn」とも連携しておりのが特徴的で、名刺からOCRでデータ化された内容と「LinkedIn」に登録されているメールアドレスが一致すると、プロフィールが自動的に追加される仕組みが備わっています。
ヨーロッパ・アジア・中南米まで幅広い外国語に対応しており、アジアでは中国語(簡体字・繁体字)や韓国語以外にも、近年さらに日本との経済関係が深まってきているタイ語・マレー語・インドネシア語・ベトナム語など、東南アジア系の言語に広く対応できるのが強みです。
・「Sansan」
名刺管理サービスで国内トップシェアを誇る「Sansan」は、2007年にSansan株式会社から発売された名刺管理システムです。システムの優位性はもとより、プライバシー精度認定の証しであるPマークも取得しているなど個人情報保護に対する信頼も厚く、2020年現在では上場企業や官公庁などを含む6000社以上の企業に導入されています。
名刺の取り込みには専用スキャナー及びスマートフォンのカメラを用い、人工知能とオペレーターの目視による修正作業を経て100%正確にデータ化します。
対応できる外国語は、3大言語である英語・中国語(簡体字・繁体字)・スペイン語を含む11言語で、ドイツ語・フランス語・韓国語などのほかにも、東南アジアにおいて大きな経済圏であるタイ語とインドネシア語を含んでいるのが特徴です。ワールドワイドなビジネスを展開する企業には大きな力となるシステムと言えるでしょう。
多言語対応の名刺管理で世界とつながろう
多言語に対応した名刺管理アプリの中には、今回ご紹介したアプリのほかにも外国語の読み取りをサポートしているものがありますし、データ読み取り以外にもアプリの言語設定自体を変えて世界中の様々な国で利用が可能な名刺管理アプリもあります。
自社のビジネス展開や取引先の国や地域に応じて必要となる言語を見極めて、それらをカバーできる名刺管理アプリを適切に選べれば、国境や言葉の壁を感じさせないグローバルな取引をさらに増やしていけるでしょう。