KGI・KPIとは?設定方法や注意点を解説!

企業の事業戦略・マーケティング戦略において、よく用いられる指標として「KGI」「KPI」というものがあります。今回は、KGI、KPIの意義や、設定するメリット、設定する方法などについて解説していきます。

KGIとは?

KGI(Key Goal Indicator)は、日本語で「重要目標達成指標」と訳されるもので、事業の最終的な目標を定量的に評価する指標のことを言います。簡単に言えば「最終目標」であり、売上や利益などがKGIとして設定されることが多いです。

KGIとKPIの違いは?

KGIは企業が最終的に達成すべき目標のことですが、KGIを設定しただけでは漠然としていて、日々の業務でやるべきことが明確になりません。そこで、KGIを達成するための前段として「まずはこの目標を達成しよう」という中間目標を設定します。この中間目標がKPIと呼ばれるものです。

KPI(Key Performance Indicators)は、日本語で「重要業績評価指標」と訳されるもので、企業がKGIに向かうプロセスにおいてその達成度を評価する指標のことを言います。KGIが「最終目標」「ゴール」であるのに対し、KPIは「中間目標」「プロセス」という位置付けです。

KGI、KPIを設定するメリット

KGIやKPIを設定するメリットとしてよく言われるのが以下の4点です。

KGI、KPIがあると、目標達成のための方向性が明確になる

KGIを設定することで、事業の最終目標を可視化することができます。最終目標が明確になれば、そこに到達するための手段、つまりKPIを明確にすることもできます。こうして明確になったKGI、KPIを従業員に共有することで、従業員は迷いなく目標に向かうことができ、結果的に目標達成の可能性が高まっていきます。

なお、KGIだけを設定してもあまり意味はありません。最終目標であるKGIは非常に遠くに感じられるため、達成までの道のりをイメージできないケースもあります。しかし、中間目標であるKPIを設定すれば達成に向けた方向性が明確になるので、具体的な行動に移しやすくなります。

KGI、KPIがあると、モチベーションアップにつながる

従業員のモチベーションを引き出せることも、KGIやKPIを設定するメリットです。適切なKGI、KPIを設定できれば、一人ひとりの従業員が「目標達成のためにやるべきこと」が具体的になり、モチベーションアップにつながります。また、組織全体として進むべき方向性が明確になることで一体感や結束力が生まれます。これらもまた、個々の従業員のモチベーションを高めてくれます。

従業員が高いモチベーションを維持したまま目標に向かうことができれば、生産性が向上し、結果的に目標達成の可能性も高まるでしょう。

KGI、KPIがあると、進捗管理や軌道修正がしやすい

KGIやKPIは定量的な指標であり、達成すべき期限や数値が明確になっています。それゆえ、目標達成のプロセスにおいて進捗管理がしやすいのがメリットです。進捗状況が思わしくない場合も、各KPIをモニタリングしているため、「何がボトルネックになっているのか?」を特定しやすく、早めに軌道修正を図ることができます。

KGI、KPIがあると、客観的な人事評価ができる

KPIは定量的な数値で設定されるため、客観的な人事評価をすることができます。たとえば、売上目標達成のためのKPIとして、一人の営業パーソンが「月間5件の商談」を設定していれば、商談数が5件以上なら目標達成、5件未満なら目標未達成というように客観的な基準で評価できます。公平感のある評価ができるため、人事評価に対する不満も生まれにくくなるでしょう。

KGI、KPIを設定する方法

KGI、KPIを設定する方法・手順について解説していきます。

①KGIを設定する

当然のことですが、最終目標であるKGIを決定しなければ、中間目標であるKPIを設定することはできません。そのため、まずはKGIを決定します。たとえば、パン屋さんで言えば、「月間売上150万円」というような形で設定します。

②KGIを達成するために必要な要因を挙げる

KGIを設定したら、そのKGIを達成するために必要な要因を挙げていきます。

「月間売上150万円」をKGIとしたパン屋さんの場合、KGIを達成するための要因として「顧客単価」や「顧客数」などが考えられます。顧客単価はさらに「商品単価」と「購入商品点数」に細分化できますし、顧客数はさらに「新規顧客数」と「リピート顧客数」に細分化できます。同じ顧客でも、新規顧客を獲得するための施策と、リピート顧客を獲得するための施策は違ったものになるはずです。このように、KGIを達成するために必要な要因を細分化することで、講じるべき施策が明確になっていきます。

③定量的なKPIを設定する

KGIを達成するために必要な要因を挙げたら、KPIとして定量的な数値を落とし込んでいきます。

上述のパン屋さんの例で言えば、「月間売上150万円」を達成するために必要な要因として、「顧客単価」や「顧客数」がありました。たとえば、顧客単価500円 × 顧客数3,000人 = 売上150万円という計算が成り立ちます。

月間の顧客数3,000人を月間の営業日数(30日)で割ると、1日あたり100人の顧客数が必要です。つまり、「1日あたりの顧客数100人以上」というのは一つのKPIになり得ます。現状の平均顧客数が1日90人だとすると、1日あたりの顧客数を10人増やすことができればKPI、KGIを達成することができます。

④KPIを達成するためのアクションプランを立てる

アクションプランとは、KPIを達成するために必要な行動計画のことを言います。KPIを絵に描いた餅で終わらせないよう、具体的にどんな行動をすればKPIを達成できるのかを考えていきます。上述のパン屋さんの例で言えば、「1日あたりの顧客数を10人増やすために何をすべきか?」ということです。

KGI、KPIを設定する際の注意点

KGI、KPIを設定する際の注意点について解説します。

KGIは定量化できる指標にする

KGIは、必ず数値としてモニタリングできるものでなければいけません。たとえば「お客様に愛されるお店にする」というKGIを掲げたとしましょう。ですが、このKGIでは「お客様に愛されるお店がどんなお店なのか?」が漠然としています。それゆえ、何をすればお客様に愛されるお店にできるのかも分かりません。

このように、定量化できない指標は価値観によって評価が変わり、達成できたかどうかの判断もしにくいので、KGIとしてふさわしくありません。

KPIはKGIに結びつく指標にする

KPIは、KGIを達成するために設定するものです。逆に言えば、KPIを達成し続けてもKGIが達成できないのであれば、その指標はKPIとして適切ではありません。KPIは、それをクリアしていった先にKGIの達成があるように設定しなければいけません。

KPIを増やしすぎない

KGIを達成するためにはKPIの設定が不可欠ですが、KPIの数を増やしすぎると、逆にKGIの達成が遠のいてしまうことがあります。KPIが多くなるほど取り組むリソースが分散してしまい、結果的にどのKPIも中途半端になってしまうからです。自社のリソースを踏まえたうえで、注力できる数のKPIを設定するようにしましょう。

現実離れしたKGIにしない

たとえば、「次年度の売上200%増」というKGIが設定されたとします。目標は高いほうが良いと言われますが、あまりにも現実離れしており、初めから実現が不可能だと分かるようなKGIを設定すべきではありません。KGIを達成するためには従業員のモチベーションが欠かせませんが、現実離れしたKGIは、逆に従業員のモチベーションを低下させてしまいます。現状をきちんと把握したうえで、実現できそうなKGIを設定することが大切です。

KPIを設定する際に知っておきたい「SMARTの法則」とは?

SMARTの法則は、目標設定の際に用いられるフレームワークです。KPIを設定する際も、SMARTの法則を使うことで、より効果的な指標を設定することができます。上述した「KGI、KPIを設定する際の注意点」と共通するところもありますが、KPIを設定するときはSMARTの法則を念頭に置くようにしましょう。

SMARTの法則は、「S」「M」「A」「R」「T」の5つの項目から構成されています。

S(Specific/具体的で分かりやすいこと)

KPIは、組織全体でKGIの達成を目指す際の指標になるものです。そのため、KPIは従業員全員が同じように解釈できる具体的な指標でなければいけません。漠然としていて分かりにくいKPIや、人によって解釈が異なる可能性のあるKPIは、KPIとして適切ではありません。

M(Measurable/数値化されていて計測できること)

KPIには、定期的にKGIの達成度合いを確認しながら、計画どおりにアクションプランが進捗しているかどうかをモニタリングする役割もあります。しかし、測定できないKPIを設定していると、進捗確認をすることができず、課題があっても解決するのが難しくなってしまいます。KPIは測定可能な指標で設定しなければいけません。

A(Achievable/実現可能性があること)

KPIは定量的な数値で設定しますが、その数値が実現可能なものでなければいけません。実現可能性があまりにも低いKPIを設定すると、従業員のモチベーションが削がれ、生産性も低下してしまいます。自社の現状や外部環境を正確に把握したうえで、達成できる見込みのあるKPIを設定することが重要です。

R(Relevant/関連性があること)

KPIは、細分化された中間目標の達成を繰り返すことで最終目標であるKGIの達成を目指すものです。それゆえ、KPIはKGIと関連性のある指標である必要があります。KPIを達成し続けても、KGIの達成につながらないようなKPIではいけません。

T(Time-bounded/期限が明確になっていること)

KPIに期限を設けることも重要なポイントです。期限が設定されていない目標は後回しにされがちなので、結果的にKGIの達成可能性も低くなります。ただし、「A(Achievable/実現可能性があること)」でご説明したように、実現可能性のない無謀な期限では逆効果になってしまいます。根拠のある適切な期限を設けるようにしましょう。

まとめ

企業が目標を達成するためには、そもそも明確な目標を設定する必要がありますし、進捗状況を正しく把握できなければいけません。不明確な目標では、達成するために何が必要なのかも分かりませんし、進捗状況を把握できなければ、今やっていることが正しいのかどうかも分かりません。今回解説したKGIやKPIを設定することによって、より効率良く目標達成を目指すことができます。自社に合ったKGI、KPIについて考えてみてはいかがでしょうか。