名刺データには会社名や氏名、連絡先など顧客管理に必要な基本的な情報が網羅されています。その名刺データを顧客管理ツールで管理することは、データの可視化やほかのデータとの連携など様々なメリットがあります。
また、顧客リストを作成するときに、リストを既存客と見込み客に分ける企業も多いでしょう。既存客と見込み客はそれぞれ性質が異なるため、営業アプローチも違う手法が求められます。
今回の記事では米国発のCRMツール「Zoho CRM」を活用した、既存客と見込み客のアプローチ方法について解説していきます。顧客管理を実際の営業活動に活かしたいという方はぜひ最後までご覧ください。
そもそも顧客管理とは?
顧客管理とは、顧客の氏名や会社名、連絡先、購買データなどを一元管理することを指します。情報化の進む現代において、企業にとって顧客管理の重要性は高まり続けています。
インターネットが普及した現在は、誰もが簡単にあらゆる情報にアクセスできるようになりました。それによって顧客は自分が欲しい商品やサービスをインターネット上で比較検討することが可能になり、顧客自身が持つ情報量が増えたことで商品の購入に至るまでのハードルが高くなっています。
そのため、顧客の細かなニーズを探ることのできる顧客管理は、いまや企業にとって必須の業務とも言えるでしょう。顧客の購買履歴や趣味・嗜好などの情報を管理し、それを分析することによって最適な提案や営業活動の手法を導き出すことが顧客管理の目的です。
現在は顧客管理のための様々なツールが開発されており、Zoho CRMもそのうちの一つです。Zoho CRMは顧客管理機能だけでなく、顧客への提案に役立つ豊富な営業サポート機能も備えている点が特徴です。
名刺データをCRMで管理するメリット
名刺データはExcelや名刺管理ツールなどを使って管理をする方法がありますが、CRMツールで管理したほうが様々なメリットを得ることができます。
CRMとはCustomer Relationship Managementの略で、顧客の連絡先や商品・サービスの購買履歴、商談の内容などを一元管理する顧客管理方法です。
名刺データをCRM上で管理することのメリットの一つは、顧客情報を可視化することにあります。名刺管理では顧客の会社名や連絡先などの情報を管理しますが、CRMはそれらを含めたより多くの顧客情報を蓄積していきます。
そして、CRMはそれらあらゆる顧客情報を一元管理します。連絡先や購買データなどを異なる台帳や表で管理している場合は、データを見比べたいときに手間がかかります。その点でデータを一元管理しているCRMは詳細な顧客情報がまとめられているので、効率的な活用ができるのです。
さらに、CRMツールには営業活動をサポートするSFA(Sales Force Automation)機能を備えているものもあるので、顧客情報をSFAと連携させることができます。例えばCRMで記録した顧客の購買データを自動分析し、提案商品の検討や売上レポートなどを作成することができます。
Zoho CRMの顧客管理方法
Zoho CRMでは顧客を「見込み客」「取引先」「連絡先」の3層に分類しています。
それぞれの違いについて以下で確認していきましょう。
・見込み客
まだ購入には至っていないが、これから購買につながる可能性のある顧客のこと。
これから客・リードとも言います。
・取引先
商談が開始された、またはすでに購買に至った取引先の企業(既存客)のこと。または企業名。
BtoCビジネスの場合は企業が存在しないので不要です。
・連絡先
取引先企業の連絡担当者のこと。取引先の企業には複数の部署や担当者がいる場合があるので、取引先とは分けて管理する。
具体的には担当者名・メールアドレス・電話番号などの情報のこと。
このように顧客を分類することで、営業担当者は顧客に合わせた活動内容を行うことができます。そのため顧客の分類は効率的な営業アプローチのためにも欠かせません。
Zoho CRMの見込み客と既存客のアプローチ方法
分類した顧客はそれぞれ異なる効果的なアプローチ方法があります。ここではZoho CRMを使った見込み客と既存客(上記で説明した取引先と連絡先)に対するアプローチ方法をご紹介していきます。
●見込み客
見込み客はこれから取り引きできる可能性の高いターゲットのことです。
あらゆる業界で競争が激化している昨今は、この見込み客に対する継続的で積極的なアプローチが求められています。
見込み客を獲得し、商談へと運んでいくまでのZoho CRMを使ったアプローチ方法は以下の通りです。
①見込み客の獲得
まずは見込み客を獲得することから始まります。Zoho CRMでは下記の各種チャネルから見込み客を獲得し、CRMにデータを登録することが可能です。
・Webフォーム
ホームページなどに設置したお問い合わせフォームに連絡があった顧客の情報をCRMに登録する
・名刺スキャン
名刺交換で獲得した名刺をスキャンしてデータをCRMに登録する
・SNS
SNS上でメッセージなどやりとりがあったアカウントをCRMに登録する
②見込み客の分類
次に、見込み客にどのようなアプローチをかけるかを判断するため、見込み客の分類を行います。見込み客を分類することで、顧客に合わせた効果的なアプローチをすることができます。
見込み客の分類には「スコアリング」と「担当者割り当て」を行います。
・スコアリング
顧客の獲得経路やメールの開封率、Webサイトの訪問状況などのデータから、顧客の点数を算出します。
点数の高い顧客ほど商談の成約率は高くなると判断されるため、スコアリングをすることで優先的なアプローチをかけるべき顧客のリストを作成することが可能です。
・担当者割り当て
見込み客を担当する営業を自動で割り当てる工程です。
担当者を割り当てには様々な設定が可能で、商材別、エリア別、担当順番別など自由な割り当てを行うことができます。
③見込み客の育成
続いては、問い合わせにつながるアプローチを見込み客にかけていきます。これを見込み客の育成と呼び、主に自動メールなどを活用して顧客のニーズを刺激します。
・メールの自動送信
Webフォームに問い合わせがあった際など、顧客のアクションに対して自動でメールを送信します。メールを送信する条件は、商品やフォームの種類など細かくカスタマイズすることが可能です。
メールの開封率やクリック率などは自動で集計・分析されるので、簡単にメール送信のフィードバックを受けることもできます。
・一括メール送信
顧客に属性を設定し、その属性に合致する顧客に対して一括でメール送信をする機能です。属性は地域や業種など自由に設定できます。
例えば、東京エリア限定のキャンペーン情報や、特定の業種のみに関わる情報をメールしたいときに役立ちます。
④コンバージョン(商談成立)
見込み客からの問い合わせを獲得したら、担当営業へと業務を引き継ぎます。この際に見込みみ客の情報から自動的に取引先・連絡先が作成されます。
これまでのアプローチの過程で顧客情報は蓄積されていますので、営業への見込み客の情報はスムーズかつ詳細に共有することができます。
⑤分析
最後に、顧客の獲得や商談成立に至ったまでの過程を分析します。
広告やキャンペーンからの問い合わせ率や、どの経路から獲得した顧客の成約率が高いかなどを分析することで、今後の見込み客へのアプローチ方法をより効果的なものにすることができます。
●既存客(取引先と連絡先)
既存客へのアプローチ方法は、取り引き実績をベースにした分析結果から最適な手法を判断します。また、信頼関係を維持するためにも顧客情報の管理をより強固なものにし、ミスや不手際を無くすことも重要です。
ここではZoho CRMの既存客へのアプローチや顧客情報の管理に効果的な機能の一部をご紹介します。
・取引先・連絡先の一覧作成
ワンクリックで取引先と連絡先の作成が可能です。面倒な入力は不要で、Excelなどのシートから顧客情報を取り込むこともできます。
・商談履歴の一元管理
商談の内容は顧客情報と紐付けしながら記録されるため、取引先や連絡先から商談内容を確認することができます。
どの取引先の、どの担当者と、どんな商談をしたのかを把握したいときに非常に便利です。過去の商談に顧客の嗜好のヒントが隠されて場合もあります。
・複数チャネルでのやりとりを一元管理
電話、メール、チャット、SNSなどでのやりとりをZoho CRMからすべてまとめて確認することができます。
顧客によって連絡手段は異なるため、対応漏れや連絡ミスなどが生じることを防いでくれます。
・ニーズ分析
メルマガやキャンペーン情報の開封率から顧客のニーズを分析します。ニーズの分析結果は、顧客への提案資料の作成や新たに売り込む商材を考える際に役立ちます。
・見積書、請求書の一元管理
見積書や請求書などの資料は、Zoho CRM上に取引先と連絡先に紐付けられた状態で記録されます。そのため、いつでも簡単に内容を確認することができます。
過去に提出した書類内容を確認したいときはもちろん、書類作成の際の他社との比較や使いまわしも可能です。
まとめ
Zoho CRMの顧客管理機能は、顧客への最適なアプローチ方法を導き出すために大いに役立ちます。
名刺データは顧客情報の基礎中の基礎です。顧客情報のもととなる名刺データをCRMで取り込めば、そこへさらに多くの顧客情報を蓄積していくことができます。
顧客との関係性の向上や効率的な営業活動を行いたい方は、ぜひZoho CRMの顧客管理機能を使って名刺データを管理してみてください。